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作家の力量
![]() | 蝉しぐれ |
物静かな父が大声を上げて進言し、その確固たる良心に日頃の尊敬の念を深めた場面。
奇抜な展開で構成された小説と対極に位置するような、丁寧な描写と無理の無い展開による構成は同時に強い説得力とリアリティを持つ。
石原監督「今回は予算がふんだんにあるため、奉行所のセットも広くなった」
→俳優陣がやけに豪華なことからも窺い知れるように、今作は局(以前の大阪の朝日放送ではなく東京キー局のテレビ朝日)のバックアップ体制が従来とは物量的に全く異なるということか。
先輩の官吏に従って野山に分け入って農村を巡り、稲の作柄を相談する場面。
主人公は平凡な半生を送るのではない。不幸な結末となった人々や藩という組織の非常さ、抗いようもない下級武士の悲哀、過ぎ行く少年期、それらに対する緻密な描写が主人公の活躍があっても心躍る物語ではなく、切ない物語にしている。
主人公が死罪となった父に思いを伝えられなかったことを悔やむ場面。
主人公は良い結末を迎えるが、読後に残るのはやはり切なさである。2007年7月7日放送予定、「必殺仕事人2007」特集を巻頭に据えた、時代劇ファンお馴染みのムック。
上げればきりがないが、精緻な文章がそれぞれの名場面を表現しており、それらが無理のない展開で連なっている。
平尾氏「必殺のために作っていた未発表BGMを今回のために提供した」
→これは純粋に楽しみ。。
このほかにも中条氏の歯に衣着せぬ暴露発言もあり、ニヤリとさせられる。風景描写が素晴らしい。
純粋な文章の表現力に驚くことは少いが、GWに実家で父親の本棚にあったこの作品に驚いた。ファンが多いのは知っていたが、藤沢周平が優れた作家であると遅ればせながら知った。
サントラ発売希望だ。作家の力量というものを思い知らされる作品である。
執筆者も座談会の参加者も本当に楽しんでいるのがよく伝わってくる。
それぞれの名場面の描写はおそらく、作者が相当の労力を掛けて書き上げた労作と思われる。
藤田まこと氏、中条きよし氏(今作に登場するわけではない)、石原興監督、音楽担当の平尾昌章氏らのインタビューあり。
興味を惹く発言を2,3紹介。
必殺仕事人2007への期待をいやがおうにも盛り上げてくれた本書の小生の精神的高揚への寄与を考えれば、
コストパフォーマンスの悪さで1点減じても星4つを与えることができよう。そう思えるほど良く練られており、緻密である。剣は主人公を助けるが、主人公を超人にはしない。
冒頭の自然描写。
印象的な場面が多々ある。しかし、抜群の剣の腕前を持ちながらも、やはり主人公は普通の人間であり、藩という組織の内部抗争に翻弄される下級武士である。
刑死した父の遺体を荷車に載せて牽く主人公の描写。
時代劇好きではなく必殺好きで、
そのために実は今号初めて時代劇マガジンを購入した小生だが、
上記のような興味深い情報に加え、
他のページもなかなか楽しく読むことができた。その話の展開は無駄が無く、無理が無い。
藩の権力争いによる父親の横死などの困難に耐えながらも友情や剣術に励む姿が描かれる。
主人公は江戸時代、北国のとある藩の下級武士の子である。当時の武士の子弟は儒学や剣術に励み、将来の官吏としての修行に励む。
追記:他の作家と比較するのは無意味かも知れないが、史実を題材にしたフィクションである時代小説が多いなかで、藤沢周平の作品は架空の話を題材にしたノンフィクション(???)と称したくなるリアリティがある。
藤田氏「今作だけで終わらせるつもりはない」
→石原監督の発言から類推される局の力の入れ具合と合わせて考えても、続編制作の可能性は高そう。
定価がもう少し安ければ言うことのない娯楽。幼少から主人公は剣に抜群の才能をみせる。
それは読者があらかじめ持っている登場人物に対するイメージ(自分なりの信長像など)や史実であるという前提による存在感(≠リアリティ)などに依拠することなく構築される世界のリアリティであり、これはひとえに筆者の緻密な時代考証と自然な描写による。精緻な文章とはこうゆう文章を言うのだと思えた
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